美容室社長が皆を想って社会保険完備をしたら退職したいという相談
台風一過で気持ちの良い晴天でしたが、各地での被害状況は大丈夫でしたでしょうか?
保険屋をしていますと、台風や落雷での保険適用事故などもあることから、気持ち良い天気!とばかりは思っていられません。
被害に合われた方がいれば、真っ先に対応する必要もあります。
盆暮れ正月と、一般的にはお休みの時期には、自動車事故の連絡があったり、12月には案外多いのが美容室の空き巣連絡。
裏口ドアをバールでこじ開けられて、釣り銭を持っていかれるとか、最近では売上をお店に置きっぱなしなんて事は減りましたが、以前は数日分の売上を持っていかれたとかの事故が毎年必ずあるんです。
火災保険で、保険の設計にもよりますが、現金や貴金属は保険対象外なんて事もありますし、裏口ドアが賃貸した時から付属されている大家さんの設備であれば、美容室の保険で修理費用は適用されず、大家さんの火災保険でなければ適用にならないとか、まーそれ相応にさまざまあるものです。
日本で唯一だと思っていますが、弊社REPSS(レップ)社は、保険のプロ代理店として美容業界専門の乗合代理店(生保・損保を複数社取扱がある)ですが、保険にも「技術」が必要なんですよ!
今回の記事は、保険は保険でも、社会保険に関する記事です。
美容室で社会保険完備は差別化にならなくなってきましたね
美容師求人サイトを見ても、美容室の社長さん達と会って話を聞いてみても、社会保険を完備している美容室が本当に増えました。
法人であれば「あたりまえ」なのかもしれませんが、そんなあたりまえの事でも中小零細企業にとって会社負担分は、重くのしかかってくるのが実情ではないでしょうか。
それもそのはずで、消費税がどれだけ上がっても、消費税の様な預かり金から支払うという事ではなく、社会保険料会社負担分は、費用として支出するのですから、今まで社会保険を行っていなかった法人美容室にとっては、営業利益そのものが大きく減る感覚(実際そうなんですけどね)ではないでしょうか。
社会保険に関しては、賛否両論の意見がありますが、法的には法人では義務ですから、法人で美容室経営を運営するとなれば、やるかやらないかの議論はなく、義務の遂行となるわけですよね。
美容室社会保険完備の目的は美容師求人という理由も大きい
社会保険事務所から、何度も督促を受け、その都度私にご連絡をくださる美容室社長もいらっしゃいますし、積極的に社会保険に加入する決断をされた美容室社長もいらっしゃいます。
今どきという単語がふさわしいかどうかわかりませんが、美容学校からの新卒を獲得したいと考え、社会保険がないと美容学校では選考のテーブルにも乗らないと聞きますから、新卒採用=社会保険の様な図式もあるでしょう。
美容師さんの中途採用においても、20代前半や25歳くらいまでの若き美容師さんは、親の影響や学校の影響か分かりませんが、社会保険完備の言葉を必要としているかもしれません。
今までは雇用保険と労災を行い、時代の流れもあってか、美容室社長の意識改革もあってか、途中から社会保険を導入する美容室もあれば、スタッフからの要望でやむを得ず社会保険を完備する美容室もあります。
経営の途中から社会保険を完備する時には、多くのケーススタッフ向けに「社会保険勉強会」みたいな事をしていると聞きます。
美容室社会保険を導入する前に行う社会保険勉強会
美容室社長が自ら行う勉強会であったり、費用を支払ってでも社会保険労務士に依頼をして、より細かな勉強会を開催したりと、美容室社長は、スタッフに向けて社会保険制度の理解を深める目的や、今までの給与よりも「手取りが減る」という事をしっかり伝え、それでも社会保険をやる必要があったり、皆の為に社会保険をやるんだよって事を伝えたいわけです。
伝えたい事のポイントはたぶんこの2つですよね?
①皆の為に社会保険やるんだよっ!
②皆の手取りがちょっとは減るよ!
実はここ最近の美容室社長からの相談案件で右肩上がりに増加している傾向にあるのが、社会保険を導入してから約半年程度経過した頃から、にわかにスタッフの雰囲気が変わっていき、「社長、ちょっと相談があるんですけど」という、少しドキッとするこの言葉を受けているというのです。
この「ちょっと相談がある」って言葉、ドキッとしたり、何か嫌〜な気がしませんか?w
私も経験があるので、よーくわかりますw
美容室社会保険勉強会であれだけ言ったのに
若き美容師さん達に対する勉強会で、社会保険とは何か?みたいな話もしっかりし、みんなの手取りがこれだけ減るからね!って、言ったはず!
あれだけ言ったよね❓❗
ちゃんと聞いてたよね❓❗
メモってたよね❓❗
それなのに、それなのに・・・・
「給与(手取り)が減って生活が苦しいので辞めます」
「稼ぎたいから業務委託に行きたいです」
「・・・・・・・・・」
ちょっと、ちょっと、ちょっとーーーーーーーー❗
ぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおいっ❗
ざけんなよコノヤローーーーー❗
と、言った社長がいるかどうかは分かりませんが、胸中察します・・・。
この問題、この流れ、結構ある気がします。
美容師さんにとって社会保険か手取りか?
美容室で社会保険完備という単語が普通になってきた昨今では、社会保険完備でさらに手取りが充実していれば、待遇といった面だけで言えば、満足度は高まるのでしょう。
この両方を実現する為には、少なくとも平均生産性として70万円〜80万円以上が求められたりしても、練習をしたがらないスタッフに限って待遇面に事うるさい傾向がある。
美容室社長の中に、元外資系企業に勤めた経験をもって美容室を開業し、「外資系風」の運営をされている経営者は私が知る限り会った事はありませんが、業務委託美容室やフリーランス美容師を集めるシェアサロンの運営は、外資系とは程遠い日本製。
外資系企業はドライではない。
むしろとても協力的だ。
仕事に対する考え方が違うだけ。
日本では、美容室の運営においては、法的に許されている特別な制度がある。
それが「特定業種」に選定されている事。
使わない理由はあるのだろうか?
そんな「特定業種」なんて、いつその制度が終わるか分からないだろ!という大先生が過去にいましたが、明日大地震が起きたら、明日戦争が起きたらみたいな話と同類で、明日私が死んだらと未来予測の議論になる。
美容室の事業目的を分けて事業方法を分ける
福利厚生を充実させた法人美容室の経営と、手取りを重視した個人事業としての美容室経営。
事業を分けるという選択。
どこかのコンサルが、会社を分社させるという謎の提案があるようだが、2社共に正社員にするのなら全く分社の意味は無いだろう。
小手先で言えば、1社に所属させる短時間正社員として、週30時間未満の労働に無理やりして、社会保険を免れる程度の話しかもしれないし、1社の方で事業所得にするための外注契約(業務委託契約)だとすれば、分社の意味が無い。
しかも、ややこしいw
そんな分社提案では無く、王道の選択として、個人と法人の事業目的を分ければいいんじゃないか?
もちろん、超重要なポイントはいくつもある。
このポイントを知らずして行えば、必ず税務署にやられます!こっぴどく!w
OSHINNOBIセミナーではこのあたり全公開しますよw
近所に出されたくないやり方の美容室はやっちゃいますかw?
私は「技術の安売り」には賛成していません。
マーケットニーズに合わせた戦略を組むという事は大賛成です。
OSHINOBIセミナーでお話しています、「ユニクロとGU」「ABCマート」「大戸屋VSサイゼリア」の理論と同じ事です。
もし仮に、近所に「こんな美容室の出店があったら嫌かも」という想像がつくのなら、その美容室をやってしまうという選択もあるかも?ですかね。
スタッフの退職に対し無力感を受ける前に、受け皿店舗を作るという考え方もこの先必要になるかもしれませんね。
なんせ、たった1人のスタッフの退職があった場合、補充となる1人のスタッフを集める事がものすごく大変な時代ですからね。
将来FCにするって手もあるでしょう。
今や美容室にとって人財は希少価値
同じ事を弊社でも考えますが、なぜ退職という気持ちになってしまうのか?
人間関係ではない理由だとすれば、改善方法はいくらでもある。
方法論はネット検索すれば、悪意のある情報もあれば、良質な情報もあるが、その情報を取捨選択するのも自己責任の時代。
方法論よりも大切な事は、理由や目的が明確である事ではないでしょうか?
社会保険はいったい誰の為で、何の為で、なぜ必要なのか?
法律や制度を遵守する事は当然必要であっても、より深く推察すれば、美容業界だからできる事もまだあるはず。
それが仮に時限装置であっても、その事が時限装置であると理解した上で選択をするのであれば、経営手腕にひとつとも言える。
英語にはない「プレイングマネージャー」という和製カタカナ英語ではなく、経営者はリーダーであるのですから、リーダーとしてどの選択肢を選択するかが重要になるのでしょうね。
この記事を書いた人
- 美容業界特化型保険代理店REPSS(レップ)株式会社の取締役会長と、美容師教育プランニング・美容室事業設計のアドバイザリー業務を運営するNAPIAS(ナピア)株式会社の代表取締役をしている、下道 勝(シタミチ マサル)が、日本全国の美容業経営者に向けた、情報ブログサイトを可能な限りの範囲で更新しているブログです。 日々営業活動をしている中で、美容業経営者の「なぜ」に対し、協会認定ファイナンシャルプランナーとしての情報が満載です。 これから美容業経営者を目指す方、現在美容業経営者の方に対し、情報を発信していきます。
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