美容室経営3年目個人のままか法人か@REPSS下道

コロナのニュースに慣れてしまっている様なマン防に慣れてしまっている様な、そんな今の日本ですが、未来の日本はどうなるのでしょうかね。今これだけ補助金や給付金を行い、それは必要だからこその対策と理解はしていますが、今後の社会保障や年金の原資は間違いなく枯渇するでしょう。その枯渇した原資は、国民の負担として協力して生きていかなければなりませんね。冒頭から少し重い話になってしまいました。

 

なぜこの話でスタートしたかと言うと、最近の相談で「個人年金とか入っておいた方が良いですか?」と聞かれる機会が増えました。皆さん心のどこかで少し将来に不安を感じているのでしょうかね。ちなみに私は個人的にですが「個人年金」を追加加入しました。

美容室経営3年目

さて話を戻しましょう。今回のご相談相手はご夫婦さんです。

 

美容室経営3年目には、多くの美容室でお客様からお預かりした消費税の課税対象事業者になり、いよいよ消費税納税の準備をする事から、お預かりしている消費税といえども、なんだか支払いが大きくなるイメージをお持ちの美容室経営者は少なくないでしょうね。

 

こんな事をよく聞かれます。「消費税の納税用に貯金しておこうと思うのですが、毎月どれくらい貯金しといたらいいでしょう?

この質問の答えは。

「月間でお預かりした消費税の半分は最低でも貯金しといた方がいいかもね」

 

ご存知な方も多いかもしれませんが、年間売上が5,000万円以下の事業であれば「消費税の簡易課税制度」の適用(届出してくださいね)となる事から、一般的な雇用系美容室であれば、事前届けをした上で「簡易課税制度」を適用する方がメリットが多い場合が多いと思われます。(税理士さんに確認してください)

美容室の簡易課税制度

美容業は第5種事業の(サービス業等)50%

簡易課税制度とは(国税庁HPより)

消費税の納付税額は、通常は次のように計算します。
課税売上げ等に係る消費税額-課税仕入れ等に係る消費税額

しかし、その課税期間の前々年又は前々事業年度(以下「基準期間」という。)の課税売上高が5,000万円以下で、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前に提出している事業者は、実際の課税仕入れ等の税額を計算することなく、課税売上高から仕入控除税額の計算を行うことができる簡易課税制度の適用を受けることができます。
この制度は、仕入控除税額を課税売上高に対する税額の一定割合とするというものです。この一定割合をみなし仕入率といい、売上げを卸売業、小売業、製造業等、サービス業等、不動産業(注)及びその他の事業の6つに区分し、それぞれの区分ごとのみなし仕入率を適用します。

みなし仕入率

  • 第一種事業(卸売業)90%

  • 第二種事業(小売業)80%

  • 第三種事業(製造業等)70%

  • 第四種事業(その他の事業)60%

  • 第五種事業(サービス業等)50%

  • 第六種事業(不動産業)40%

 

業務委託美容室経営の場合は、外注スタッフ(委託美容師さん)に(報酬+消費税)の支払いとなる事から、お客様からの預かり消費税ー委託美容師への支払い消費税となるので、必ずではありませんが「簡易課税」の適用ではなく、「本則課税」(年間預かり消費税ー年間支払消費税=差額消費税納税)の適用の方が、メリットがある場合があるようですので、詳しく税理士に確認してくださいね!

美容室経営者のお金の感覚

こんな話をよく聞きます。

「税金(所得税・住民税など)がえらい事になってきた」「健康保険の支払い額がとても大きい」。けれどこれはしっかり頑張った結果、好成績を収めているという事ですよね。

 

そして更に多くの聞く言葉はコチラ。「税金払う為に仕事しているみたいだ」「頑張っても頑張っても税金でいっぱいもっていかれる」

 

さらにさらにこんな感じの言葉まであります。

「頑張っても頑張っても、全然がお金貯まらない」「お金が全然貯まらないけど、こんなもんなの?」

 

そして、そして。

「売上そこそこいってるけど、現金が増えないのは何で?」「儲かっていると思うけど、現金は増えないんですけど?」

 

美容室を創業して2年目〜3年目に感じる感覚がこんな感じなのかもしれません。どうでしょう?お金の悩みや疑問を抱えつつ、日々美容師として美容室経営者はお客様と向き合いながら、ネットや知り合いの話に耳を傾けると、割りと会社組織(法人化)にしている事が気になり始める様ですね。

美容室経営3年目には法人か?

「まだ早くない?」「法人の方が良いんでしょ?」と、またもや疑問が浮き上がってくるようです。会社にするといっても、何がどうなって、何をしたらいいのか分からないし、会社にするメリットもデメリットもよく分からないし、知り合いに聞いても、実はイマイチすっきりしない感じも残る。

 

よく分からないから、このまま個人事業の美容室経営を、もうしばらく続けようか?でも何も解決にならなくて、モヤモヤが残る感じと、オンラインサロンなどで聞いた話が混同する方も今どきはいるかもしれません。

美容室経営を法人にするメリット

美容室を法人にしたら社会保険という話しももちろん聞きますよね。10年前ならまだそこまで浸透していなかったかもしれませんが、今では社保は法人ならほとんどの方がしっかり整備する様になりました。

 

いったい法人にした方がいいのか、個人のままもう少し続けた方がいいのか、いったいどっちなんだ?と判断に迷う方もいるでしょう。美容室を法人にする場合の「初期」メリットはこんな感じかな。

 

①会社(法人)として創業扱いの場合、最低1年間(最大2年)は消費税の免税メリットが受けられる。

②代表者の給与が経費になる(社長も会社から給与を受け取るので(役員報酬))

③社長は給与なので「給与所得控除」の適用になる。

④経費の考え方はさまざまですのでここでは割愛します。

 

メリットはこのあたりが代表的な事柄ですが、最近では個人よりも法人の方が利益に対する税率が低い場合もあるし、代表者が事業所得で受け取る報酬と、法人から払われる役員報酬の年間比較が同等の場合、法人から受け取る給与の方が手取りとしては残りやすい場合もありますが、社会保険という今後益々負担が増えていきそうな制度を忘れてはなりません。

美容室経営の法人化は社会保険加入義務ですよ

言い回し次第では他の言い方があるかもしれませんが、心理は「支払いを減らしたい」が気持ちの中に割りと大きくある様に感じる事が多い気がします。美容業界においての社会保険導入は、だいぶ重くのしかかる事は間違いない。しかし誤解しないでくださいね、社会保険は義務ですから、できればやりたいではなくやる必要があるのです。

 

人によっては、社会保険をやるなんて当然の義務なんだから、社会保険を導入して継続できないのであれば、個人のままの方がいいんじゃないか。会社組織(法人の場合、社長給与+役員給与+従業金給与)にした場合は、本人の加入意思確認は無くて、加入要件に当てはまるスタッフがいたら加入の義務が生じます。

 

総額給与✕約14.5%位を会社負担分(約14.5%が会社負担分ですよ)として考えておけば大丈夫ですかね?しかし厚生年金も健康保険も上限はあります。

 

美容室経営を個人か法人か悩んだ時には、社会保険の維持継続の判断でもおかしい事ではないですよ。

 

仮に消費税が将来20%になったところで、あくまでお預かりしている税金ですから、社会保険とはお金の種類が違います。消費税はお客様から一時的に預かっているお金、社会保険は会社の現金で支払う福利厚生費ですから、消費税分は別に貯めておけば問題はないはずです。

 

社会保険は美容室の生産性にも関わることですから、かなり慎重に判断したいところ。美容室経営を個人で続けて多めの税金を支払いうか、法人美容室経営にして税金を圧縮して社会保険完全導入を視野にいれるのか。

 

2022.2.26日に美容業界でかなり有名な方々とオンラインサロンでゲスト出演します。テーマはお金や経営について。本を出版し、注目が集まる方々とのセッションになりますが事前にあまり準備しないで作らないで参加した方が見てくださる方には新鮮かもしれませんね。

 

迷ったらご相談くださいね。

この記事を書いた人

下道 勝
下道 勝取締役会長兼務代表取締役
美容業界特化型保険代理店REPSS(レップ)株式会社の取締役会長と、美容師教育プランニング・美容室事業設計のアドバイザリー業務を運営するNAPIAS(ナピア)株式会社の代表取締役をしている、下道 勝(シタミチ マサル)が、日本全国の美容業経営者に向けた、情報ブログサイトを可能な限りの範囲で更新しているブログです。 日々営業活動をしている中で、美容業経営者の「なぜ」に対し、協会認定ファイナンシャルプランナーとしての情報が満載です。 これから美容業経営者を目指す方、現在美容業経営者の方に対し、情報を発信していきます。