働き方の多様化@REPSS(レップ)吉里

ここ最近、コロナにかかったという連絡や、お子さんがコロナになり濃厚接触者となったので、打ち合わせのリスケの連絡をいただくことが増えてきているように思います。

美容室の経営者の皆さんと打ち合わせをしていても、お客さんのキャンセルが目立つようになり、思いのほか売上が伸びていないという声も聞くようになりました。

この暇な時期を逆手に、普段なかなか時間がとれないスタッフ教育に力をいれている美容室も多いように思います。

コロナの悪い状況をなげいていても状況がすぐに良くなるわけではないので、スキルアップやこれまで取り組めなかったことに取り組む良いチャンスと捉えて前向きに過ごすのもいいですね。

業務委託という働き方

業務委託サロンの最大手『Agu』を展開するAB&Companyさんが昨年の11月にマザーズに上場したことは記憶に新しいです。

弊社のお客様でも業務委託サロンを運営する経営者の方も増えてきているのが実情です。従来の雇用型の美容室経営者さんとの打ち合わせでは、業務委託という働き方やその運営の仕方などのご質問やご相談をいただくことも多いです。

従来の働き方から、業務委託や面貸しや時短勤務など美容業界においても働き方が多様化してきています。

経営者の方も、その変化に合わせスタッフの働き方を見直し、業務委託契約で働ける制度を導入する美容室も増えてきています。その一方で、その働き方の見直しにより、スタッフの離職につながるケースもあったので気をつけていただきたいと思います

制度導入時に気をつけておきたいこと

ある美容室で起こったことですが、スタッフさんの離職・流出を抑えるために、業務委託という働き方を導入したにもかかわらず、離職は止まりませんでした。

スタッフがより働きやすく、稼げるようにと思い行ったことが、逆に離職につながってしまいました。

今回のケースの問題点は、大きく分けて2つありました。
・スタッフの業務委託に対する理解度が低かったこと
・一つの店舗の中で働き方が混在していたこと
この2つでした。

スタッフの業務委託に対しての理解度が低い

このケースに限らず、業務委託という働き方にについてメリットばかり先行し、デメリットの認識が低いケースが多いように感じます。
また、経営者側がスタッフさんに伝える際に、メリットだけでなくデメリットも伝えきれていない説明不十分なケースも多いです。

業務委託のメリット

・同じ売上でも収入UPが見込める
・働く時間や報酬体系を調整できる
・施術と接客に集中できる

メリットに関しては、お金面とプライベートな時間面に良さを感じ働く方が多いように思います。

業務委託のデメリット

・収入が安定しない
・万一の補償が従業員に比べて少ない
・トラブル時ストレスが半端ない

業務委託という働き方の場合、自分が働けなくなることは収入に直結します。最悪のケース収入が0になることもあります。

今回のコロナのように病気で休んだ場合やプライベートの怪我が原因で仕事を休まなくてはいけなくなった場合に、休んでいる間の収入はありません。

一方、雇用だと病気や怪我で休むことがあっても「傷病手当」(※社会保険に加入必須)を受けることができます。

また、業務委託の場合、お客様とのトラブル時(薬剤によるかぶれ事故や服を汚してしまった場合など)には、自分ひとりで対応することがほとんどです。

クレーム対応というのは、美容室の経営者の方であれば経験がある方も多いとと思いますが、考えている以上に精神的にきます。

理解不足や説明不足とならないように

対策としては、業務委託という働き方について、スタッフの理解度を深める機会をつくることです。

お店のことなので、ついつい経営者が話をしてしまいがちですが、経営者が話をすると、「会社にとって都合のいいことじゃないの?」と勘違いされてしまう場合があります。

税理士や社労士、コンサルタントなどの外部の専門家に協力してもらい、スタッフに説明すると受け入れやすい傾向にあります。
説明する際には、デメリットに対する対策も話してあげるとよりよいです。

また、業務委託という働き方だけでなく、雇用型のメリット・デメリットも合わせて説明し、選べる状況を用意することも大事です。

一つの店舗の中で働き方が混在している

美容業界においても、働き方が多様化してきています。その現代においてスタッフのことを考えて新しい働き方や制度を導入することはとても良いことだと思います。

ただ今回のケースでは、一つの店舗の中で従業員という雇用型と業務委託型という二つの働き方が混在していました。

混在するケースでは、実際に業務委託制度を導入してもうまくいかないことが多いです。

単純に働き方に応じて、契約書を作れば大丈夫でしょ。と考えていたり、業務委託時の報酬を決めていれば大丈夫と安易にスタートしてしまうと失敗してしまいます。

スタッフさん側からすると業務委託という働き方について、「自由」という認識を強くもつ人が多くいるように感じます。

そのため、働き方が変わった途端に自分のことだけしかしなくなったり、一緒のサロンで働いているのに自分のお客様以外には挨拶しない、会社の指示に従わなかったりなど、サロンの雰囲気が悪くなったりすることがあります。

「決め事(ルール)」をつくる

1店舗で働き方が混在する場合には、「決め事(ルール)」を設定することがトラブルの軽減につながります。

業務委託やフリーランスに「業務の指示・命令をしてはいけない」というようなことを聞いた事がありますが、そんな事はないと思います。

業務上必要な事は言うべきです。ただし、正社員ならその指示・命令に従う必要がありますが、業務委託・フリーランスさんはその指示・命令に対して「NO」を言える権利を持っているという事です

「自由」だから「自分勝手」にしていいという訳ではありません。

接客業である以上は来店したお客様には挨拶をする、サロンを綺麗にたもつ(掃除当番を決める)、「決め事(ルール)」を設定し、このルールを守れることを確認したスタッフと業務委託契約を締結することをオススメします。

また、働き方に応じて働く場所(別店舗)を変えることも検討が必要です。

安定や安心志向の雇用型と自由志向の業務委託型の美容師さんは、もともと重要にしているポイントや考え方が異なります。
雇用型であっても、考え方が違えば衝突することはよくありますよね。

働き方が違うのであれば、食い違いが生まれても仕方がないです。
無理にお互いが合わせるのではなく、各店舗ごとに雇用型の店舗と業務委託型の店舗に分けると問題が解決する場合があります。

業務委託という働き方や制度の導入は比較的容易にできます。
簡単にできるからこそ、スタッフの理解を深める機会を増やしたり、ルールの明確にするなど事前準備を行うようにしてしてください。

また、導入後に関しても、スタッフさんが不安に感じている部分がないか、良かった点はどこかなどフォローを行うようにしてください。想定していなかったことに気づくことができ、修正点は改善を行い自社にあった制度へ調整が必要です。

業務委託という働き方を検討している、自分のサロンにあうのか詳しく聞いてみたいなどありましたら、お気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

吉里 公博
吉里 公博
REPSS株式会社に属し「美容業界に特化」して、経営・法律・税務・資金・制度を中心に、美容業界のライフプランナーとして全国の美容師さんと会い続けています。時には出店相談・お金の相談、時にはトラブル相談・離婚相談など、美容業界で起き得る事案や不安に対し、信頼できる人脈と多くの場数が経験値となり、お客様とのパートナーシップが生き甲斐です。
ブログでは、「見といてよかったわ~」「なるほどね」
と思ってもらえるようなお役立ち情報を発信して、皆様のサロン運営に役立てていただければいいなと思っています。