加害者になっていた美容室の法律相談@REPSS下道
以前より減った様に思いますがスタイル写真を使われた問題があります。美容師さんにとって「まだそんな問題あるの?」と思うかもしれませんが、残念ですが昔も今もあるのです。HPBに使用する画像であったり、自社のHP用であったり、最近ではSNSで他人の画像を使う強者まで現れました。
美容師さんからすると、他人の画像を使ってお客様が来客した時に創れるの?と思うでしょうね。私もそう思います。それでもこの問題が続くということは、スタイルを創れるか創れないかが問題ではなく、集客が目的だと思うので、お客様が来てからすごいテクニックで創り上げるのかもしれません。もしそうだとすると、尚更もったいないですね。撮影するのが面倒くさいから盗用したという事になるので。
今回は弊社の顧問弁護士で、みなとみらいのランドマークタワー43Fにあります、竹中先生率いるLM総合法律事務所へ相談者の美容室社長と伺いました。
美容室の法律相談はLM総合法律事務所
相談者である美容室社長にブログ内容記載の許可をいただいた上で皆さんにお伝えします。また、個人を特定できる可能性のある表現は避けますのでご了承ください。今回のケースの内容は、某大手集客サイトを利用している美容室でいつ同じ問題が起きても不思議ではないので参考にしてください。
今回の相談内容は、知らぬ間に「加害者」になってしまった美容室からの相談です。
スタッフ(業務委託美容師)からスタイル写真の提供がありました。「この写真でお願いします」と。実は他の美容室のスタイル写真と知らずに、美容室の集客担当者がHPBにアップし、約3週間後にHPBから連絡があり発覚したそうです。
スタイル写真は権利が絡むので、私のアドバイスだけでなく、弊社の顧問弁護士でもある、ランドマーク内にオフィスを構える「LM総合法律事務所」の代表弁護士竹中先生に相談する事にしました。今回問題となった全体の流れはこの様な感じです。
- 業務委託契約美容師から、毎月数枚のスタイル写真を提供してもらう(委託美容師さん)
- その中から使えそうな画像だけを選ぶ(集客担当者)
- HPBへ掲載(集客担当者)
- HPBから画像の権利について注意連絡の入電
- 着信後すぐに掲載画像削除
- 画像権利者へ業務委託美容師と店舗責任者が謝罪
- 約1週間後に先方提携先の弁護士事務所より内容証明郵便が到着
- 画像の権利侵害に伴う賠償金として200万円の請求を2週間以内に
今回ポイントになりそうな箇所がいくつかあることにお気づきでしょうか?
1)画像提供者が業務委託美容師であること。
2)集客用画像を未確認のまま掲載してしまった。
3)賠償金200万円の妥当性。
問題点は?
1つ目の問題です。
- HPBに掲載したのは今回相談者の美容室。
- 画像の権利者は内容証明を送ってきた美容室。
まずこの両者間(美容室と美容室)の問題です。
2つ目の問題です。
- 業務委託美容師さんが「この画像を使ってください」と相談者の美容室に提供
- 美容室側が画像の権利未確認のまま掲載
この両者間(人と人)の問題です。
誰が加害者で誰が被害者か
まず今回のケース、被害者は画像権利側の美容室ですね。努力を積み上げてき作品を、盗難され転用される事は、本当に許しがたい事でしょう。もし被害者となった時、絶対許さない!とも思うでしょう。皆さんが当事者だとしたら、どうしますか?
しかし本当の加害者、本当の被害者が別に存在するとしたら、どう思うでしょう。この記事のタイトルは「知らぬ間に加害者になっていた美容室」です。仕組まれた加害者だとしたら。そう考えると、世知がない世の中になりました。
賠償金根拠
今回の画像転載における問題の事実は、HPBに画像掲載したのは美容室側です。もし業務委託契約書に画像提供に関する一文の記載があれば問題回避が出来ていた可能性はありますが、相手さんから200万円の請求額についての根拠を何一つ示してきていませんでした。何を根拠に200万円の請求額を提示したかも分かりません。
ご存知かもしれませんが、万が一美容室に内容証明郵便が届いた場合、多くのケースは「いつまでに何を」という内容指定が記載されていますが、それはあくまで相手からの「希望」ですのでお間違えなく。希望を聞き入れるかどうか、内容証明書の文書を認否して全ての単語を確認しながら進めます。
相手からの内容について、認める部分、認めない部分、認めるか認めないか曖昧な部分と区切って、認めない部分と曖昧な部分に対してこちらの主張を作り返送します。しかし弁護士さんという方は頭の回転速度が本当に早い。そして心情もある。
事実については認めますが、画像を提供してきた業務委託美容師さんと請求してきた美容室に所属する美容師さんと、請求を立ててきた美容室さんの「繋がり」について疑問が多々あるようです。しかしながら、請求問題は美容室対美容室であって、現段階ではその背景に人がどう関係しているかは請求とは別問題です。
現在のまとめ
結論はまだ出ていないのですが、事実はどうなのか?そこが争点です。初動の原因は画像を提供してきた美容師さんでその画像が盗難した画像であった事。その画像を受け取った美容室側が美容師さんを信用して使ってしまったこと。しかし実際の現場ではどうでしょうか?毎回その画像は自分の作品なのか確認する事も難しいかもしれません。
この事が原因で、美容室と美容室の問題に発展したわけですね。画像を受取った側の美容室さんは、画像を提供してきた業務委託美容師さんを相手取って訴訟も辞さない考えです。美容室としては巻き込み事故の様な感じでしょう。同時に2つの課題に直面しています。
知らぬ間に加害者になっていた美容室がなくなるように
同じ様な事がいつ起きてもおかしくない問題です。納得できる解決ができるかどうかも分かりません。私は弁護士さんではないので法律相談に細かくはのれませんが、弁護士さんに相談するのは少し敷居が高いと感じる場合はご連絡ください。まず私がお話を伺って、その上で弁護士さんに引き継ぐか、他に対処方法を考えるかなど相談を受けますので。
この記事を書いた人
- 美容業界特化型保険代理店REPSS(レップ)株式会社の取締役会長と、美容師教育プランニング・美容室事業設計のアドバイザリー業務を運営するNAPIAS(ナピア)株式会社の代表取締役をしている、下道 勝(シタミチ マサル)が、日本全国の美容業経営者に向けた、情報ブログサイトを可能な限りの範囲で更新しているブログです。 日々営業活動をしている中で、美容業経営者の「なぜ」に対し、協会認定ファイナンシャルプランナーとしての情報が満載です。 これから美容業経営者を目指す方、現在美容業経営者の方に対し、情報を発信していきます。
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