美容師スタイリストをフリーランスか委託に変えたいという相談
いろんな考え方がありますよね。私からは何が良いとか、どうとかって事は特になくて、社長の考え方に対して経験値や知見の中から、アイディアだったり方法論をお伝えしているに過ぎません。
今回のコロナウイルスで大きなダメージを負った美容師さんも多くいるでしょうし、美容室そのもののダメージが大きい場合もあると思います。未だそのダメージが癒えているとは思えません。
ある一定の基準をクリアしているスタイリスト美容師さんに対して、契約(フリーランス契約又は業務委託契約)にしていく事に皆さんはどうお考えでしょうか?
美容室企業目線か社長目線かスタイリスト目線か
この要望はコロナ騒動以前からありました。今回の記事では、業務委託もフリーランスも全く異なる働き方ですが、ある程度まとめて書きます。
どこを焦点にして考えるかで大きく変わるこの件。
会社という企業目線か、社長としての人目線なのか、スタイリスト目線の今から少し先までの事やもっと先までの事なのかで、きっと考え方は広がる事なんです。
美容室の企業目線
企業目線で考えると雇用の継続をし続けたいはずですよね。ただし社長がそのスタイリストの将来の役職というか役割を、教育以外の部分で考えておく必要があるのではないでしょうか。なぜ教育以外と書いたかは、今のスタッフ全員が離職せず長年働いてくれるのはとても嬉しい事なのですが、美容学校の卒業生数の減少、少子高齢化時代を考えると、教える人と教わる人の需要と供給のバランスは成り立たないのではと思うからです。すなわち「大人サロン」を創って行く必要もあるかもしれませんね。
一般企業の様に、ある程度の年齢になったら管理職をやりたい人ばかりではなく、私が知っている美容師さん達は、自分のお客様はこれから先もずっと切っていきたいと考える方が多いと思います。サロンワークが好きなんですね。私も今担当しているお客様をずっと担当していきたいのと同じかもしれません。
美容室の企業として、役割を担って欲しい今の信頼できるスタッフ達の将来の在り方を、サロンワーク以外の場面で活躍できる環境を作るのが企業の役目かもしれません。どうしても売上にやや比例する給与体系になりがちですから、サロンワーク以外の業務を企業が準備しポジショニングする、0から1を創る必要がありそうです。
美容室の社長目線
信頼して一緒にお店を盛り上げてくれてきたスタッフですから、その関係性は昨日今日で積み上がる軽はずみな関係ではないはずです。ここまで一緒にやってきたから、絶対にこの会社に居て良かったと言ってもらいたい。そんな心の声を持つ美容室社長も多いのではないでしょうか。だからこそ、そろそろ本気でスタッフの未来を考える時期なのかもしれません。
雇用の継続か、雇用に近い感じのフリーランス化か。
「あいつの為に何かしてあげたい」そう想う社長も多いと思います。フリーランスや委託での働き方が、決して突き放すような考え方ではなく、場合においてはより合理的な部分も大いにあると思います。もちろん雇用の継続で守り抜くとしたら、それ相応の待遇を維持し発展させていく必要もある。
売上至上主義で考えると、年齢と共に体力だって落ちやすくなるし、新規の若いお客様に入りづらい感覚もあるでしょうから、今の売上をこの先も伸ばし続ける事はなかなかハードルがある様に思えます。それは我々保険屋も同様に。
どちらもメリット・デメリットはあるものの、社内独立制度を活用して雇用の継続をしつつ、自分の店も持つという方法論もあるはずですね。
スタイリスト目線
髪の毛をまっすぐにすら切れない私が、スタイリスト目線は勘違い野郎かもしれません。しかし10年前までは自分のお店を持つのが夢だったスタイリストさんが多かったのも事実で、この数年でしょうか、独立に夢を置いていない人も増えた気がします。
今のお店を盛り上げたい。
社長の右腕としてこの先も頑張るつもりだ。
とっても嬉しいですよね。
仮に独立を考えるにしても、10年前と今では、情報収集速度も情報の質もネット上にあるコンテンツとSNSで独立を躊躇する人がいたり、お店を持つ事がリスクだと考えるスタイリストが、シェアサロンへ一部流れる時流もあるかと思います。
独立か?
シェアサロンか?
社長の右腕か?
それとも社内独立か?
FC独立もありか?
スタイリストさんの選択肢はとっても多いですね。夢が膨らみます。
社長は幹部クラスのスタイリストをどうしてあげたいですか?
現役スタイリストはどうしたいですか?
スタイリストを業務委託に変更したい
さまざまな考えがある中で、コロナの影響でか?スタイリストを業務委託・フリーランスに契約変更したいという相談が増えました。
この先の日本で、いつまた新たなウイルス騒動があるのか、またはたぶん無いであろうコロナ第2波。また社会保険の負担なんかも少しは脳裏にあるかもしれませんね。
制度だけで言えば、現在雇用しているスタイリストを業務委託やフリーランスに変更する事は、本人の承諾があれば難しい事ではありません。しかしサロンワークが少し空気感が変わる可能性も秘めていると思います。
例えば今までは社員のスタイリストとして活躍しつつ、後輩の教育も手塩に掛けて育ててきたかもしれません。業務委託・フリーランスになったはじめの頃は変わらず教えてくれていたものの、徐々に歪みが出はじめて、後輩に仕事を教えるという事から遠ざかっていくスタイリストも実際にいます。社員なら社長から厳しく言えた事が、少し言いづらくなる感じもあるかもしれません。
自己管理ができるスタイリストなら、社員でも委託でもフリーランスでも心配ないでしょうね。そこは社長の見極めも必要になるでしょう。
さまざまな理由でもし社員から変更させるなら、その先の事をしっかり考えた上なら、良い場合も多いと思います。
制度変更は簡単だから問題が起きたら大きい
私はREPSS社を創る以前の頃は、フルコミッションで仕事をしていたので、フリーランスとしての働き方は理解していると思いますが(他業界ですが)、フルコミッション→社員という流れと、社員→フルコミッションという流れの違いはとても大きいと思うのです。
ここで保険業界でよく聞く事を下記にまとめます。
フルコミッション→社員:過去の自由なやり方で結果が出ていればそれが正解と思いたい。社員としてその経験を押し付けたくなる場面もある。良くも悪くも、他の社員への影響がある。変化・成長が鈍くなる。過去の成功を引きずる。
社員→フルコミッション:自由度が増す。初動の段階ではめっちゃくちゃ頑張る。自己管理できる人と、自分に甘い人とでは、1年後2年後の自分像は初動の頃思っていた姿になっている人は20%程度なのかも。一度緩むと、キツイ事に耐えられない傾向もあるので、楽な楽な方に行きがち。プライドは高い。
保険業界は面倒くさい人が多い上に、プライドが高い人が多いので。
その昔、保険営業はほとんどがフルコミッションかそれに近い制度(外交員報酬制度)でしたが、今では社会保険完備の正社員雇用とルールが変更になりました。
美容室で社員と委託を混在させる
なかなか難しい感じもします。中には上手に運営できている美容室もありますが。先程書いた保険業界の一例の様に、最初は上手くいくかもしれませんが、それを維持継続する事が本当に難しい感覚です。
もし社員とフリーランスを共存させるなら、必ず必要な事は仕組みです。仕組みなくチャンレンジするのは、失敗の仕組み作りと変わらない気がします。
上手くいっている美容室では、社員と同等のフリーランスを上手く作り上げています。それは給与の仕組みだけではなく、サロン内部のローカルルールという事です。
業務委託やフリーランスに「業務の指示・命令をしてはいけない」と風の噂で聞いた事がありますが、そんな事はなと思います。業務上必要な事は言うべきです。ただし、正社員ならその指示・命令に従う必要がありますが、業務委託・フリーランスさんはその指示・命令に対して「NO」を言える権利を持っているという事です。
美容室の未来作り・美容師さんの未来作りに、保険業界の様になって欲しくない事も多いからこそ、保険業界の失敗を美容室社長には伝えています。
この記事を書いた人
- 美容業界特化型保険代理店REPSS(レップ)株式会社の取締役会長と、美容師教育プランニング・美容室事業設計のアドバイザリー業務を運営するNAPIAS(ナピア)株式会社の代表取締役をしている、下道 勝(シタミチ マサル)が、日本全国の美容業経営者に向けた、情報ブログサイトを可能な限りの範囲で更新しているブログです。 日々営業活動をしている中で、美容業経営者の「なぜ」に対し、協会認定ファイナンシャルプランナーとしての情報が満載です。 これから美容業経営者を目指す方、現在美容業経営者の方に対し、情報を発信していきます。
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