美容室フランチャイズ(FC)がコンビニFCや飲食FCと違う理由

もしかしたら今では最も得意分野のひとつになってきたかもしれません。場数を経験すると、メリットとデメリットも分かってくるし、どの地域でどの様な形態の美容室の場合なら、どういったアレンジが必要なのかも分かってくる。

 

フランチャイズのシステムで代表的なコンビニのシステムや、飲食店のフランチャイズシステムとは、似て異なる箇所も多いのが事実。

 

そもそも「なぜ」フランチャイズのシステムを導入したいと考えたのかが、最も重要だと思います。その理由は、美容室社長それぞれの考えは違っていて、分類すると「スタッフの未来作り」がやはり柱になるケースは多い。

 

美容室フランチャイズ(FC)

以前いつかのブログにも書いた事がありますが、私はフランチャイズという単語が「合わない」と思っていて、最も近しい単語を探すと「グループ化」の方が意味合いとしてしっくりくる。しかしなぜ「フランチャイズ」という単語を使うかは、その方が一般的で理解しやすいからです。

 

フランチャイズの単語の意味を調べてみると、美容室にはやはり合わない単語だって事が分かると思います。

 

フランチャイズ比較NETさんから引用

フランチャイズとは、フランチャイズに加盟する人・法人が、フランチャイズ本部から、お店の看板、確立されたサービスや商品を使う権利をもらい、その対価をフランチャイズ本部に支払うという仕組みです。

フランチャイズ本部は、新しいオーナーを随時迎え入れ、短期間で成果の出る店をつくっていきます。仕入れ・販売・集客・採用・商品開発など、ビジネスを行う上で必要な各要素を、パッケージにすることで、未経験からでもしっかりとビジネスを行うことができるように構築された仕組み、それがフランチャイズです。

それぞれのノウハウは専門的な知識と経験が必要なものですが、加盟店はそのノウハウを、一度に手に入れることができます。

ノウハウを受け取る代わりに、加盟店オーナーは「ロイヤリティ」を本部に支払うビジネス構造となっています。

 

上記に書かれている通りで美容室に置き換えると、「集客のノウハウ」だけでもなく、「求人のノウハウ」だけでもダメで、短期間で成果を出すノウハウとなると「集客」に依存しやすくなるのかもしれませんね。

 

美容室の「グループ化」を考える際に、グループ化した「その1店舗だけの繁栄」の事なのか、「事業拡大」を希望しているかで、「その1店舗の集客や単価」に集中するのか、「教育」を含めた事業拡大構築なのかは分かれ道となる。教育とは「本部機能」のひとつと考えていて、教育は技術やマーケティングに限った事ではありません。

 

私はグループ化した先の美容室がさらに店舗展開できるような仕組みを考えているので、美容室グループ化本部、グループ化した先の美容室、私達との三角関係で、それぞれの役割があると思うのです。

 

美容室フランチャイズオーナーを募集しないグループ化

私が言う「グループ化」とは、先に引用した文章の中にある「未経験からでもしっかりとビジネスを行う事ができるように構築された仕組み」ではなく、「現在のスタッフの未来作りとして考えた、店長やマネージャーのその先の仕組み」を考えているので、フランチャイズの仕組みとは根本的に違うのです。

 

最近では、この先もずっと社長の元で会社を支えるという考え持つ頼もしいスタッフも増えてきた気がします。20年前10年前の様な、どんどん独立する流れから少し変わってきました。また独立の動きも「低リスク」のシェアサロンという選択肢も増えました。

 

フランチャイズともなれば「フランチャイズオーナー募集」の様なポスターが貼ってあるイメージに感じますが、グループ化の場合「現在のスタッフ対し会社が提案する内容」ですから、わざわざ「募集」するといった感じとは異なります。

 

美容室として求人掲載をする際に「独立支援」と記載する事もありますが、私達が考えた美容業界での「独立支援」のシステムは、最も完成された仕組みだと思います。

 

ロイヤリティを払うだけの良くないイメージ

20年前の「のれん分け」。

これはこれでいい面もあったと思います。

 

コンビニや飲食店のフランチャイズでは、ある一定のパッケージみたいなノウハウがあって、そのノウハウを提供する事で、短期間で結果を導き出すイメージですから、そのノウハウに対しロイヤリティを支払うのは当然なのでしょう。

 

しかし美容室の場合で考えると異なります。

パッケージされたノウハウというよりは、本部と美容室との連携であったり、それぞれの役割が違うのです。

 

過去の産物を未来のロイヤリティに置き換えようとすると、こんな言葉が出始ます。

 

「本部は何もしていないのにロイヤリティだけ支払うのはもう嫌だ」

「何の為のロイヤリティなのか分からない」

「フランチャイズをやめたい」

「しかし契約をしているから辞められない」

 

蟻地獄の様なフランチャイズなら、誰だって嫌ですよね。このイメージが何となく印象にあってか、美容室のフランチャイズに対する先入観が良くない気がします。

 

美容室フランチャイズのロイヤリティ0%の設定もある理由

私が美容室フランチャイズ(グループ化)の仕組みを構築する上で、特徴的な部分が「ロイヤリティ0%」の設定をする事かもしれません。しかし本部収入が0円になる仕組みでもありません。

 

本部がグループ化した店舗からロイヤリティを頂戴するには理由があるはずです。

 

ところでロイヤリティとはどんな意味でしょうか?

Weblioで調べてみました。

ロイヤリティとは。

ロイヤリティとは、特許権・商標権・著作権などの使用料のことである。

英語のroyaltyは、形容詞のroyal(王権の下にある)に接尾辞-tyがついた名詞で「王室」「王権」といった用法が第一義である。日本語における「ロイヤリティ」の語には、「王室」「王権」といった用法はほぼ見当たらず、むしろ「特許権使用料」や「著作権使用料」を指す意味で用いられる。

ロイヤリティとは、最初に発明・発案・創作した人に対して支払う対価である。ロイヤリティは名詞的用法で用いられる。具体的には「ロイヤリティを支払う」や「ロイヤリティが発生する」といった使われ方がある。特許権や商標権、著作権などがかからないことを「ロイヤリティフリー」という。

 

最近の美容室の場合「店名の共通化」から「店名の自由」で展開する美容室も増えた気がします。店名だけで集客しづらくなってきたのかもしれませんね。美容室のロイヤリティの意味として、「特許権使用料」や「著作権使用料」といった内容も少し合わない気がします。

 

私は美容室のグループ化の仕組み作りをする際に、本部の業務とグループ化した美容室の業務の役割分担は必要だと思っていて、それがスケールメリットになる為の仕組みであるべきと考えているのです。

 

商売ですから利益が出ない時だってあるでしょう。利益が出なかった場合でも、グループ化した美容室からロイヤリティという名の費用をもらうには少し心が痛いなと。

 

利益が出なかったら、ある意味「痛み分け」というか、双方にその責任があると考える方が、公平な気がします。グループ化した美容室と「継続性」を重視していれば、お互いに納得できる内容だと思いませんか?

 

グループ化した美容室の利益が無かったら本部収入も0円か?

グループ化した美容室の2号店の出店があったり、今回の様な「コロナ騒動」があったりと、未来予測が難しい時代ですから、毎月の利益が出づらい状況も想像できます。もし損益分岐を下回った場合、ロイヤリティ0%設定をしていた場合でも、本部収入が0円になる事はありません。

 

現在ベースとして使っている「フランチャイズ契約書」の中に「現金決済勘定」といった小難しい内容が含まれています。この方式は、本部が請け負う業務として正しい対価を頂戴する内容となります。本部が明確な業務をする事でその費用をグループ化した美容室から頂戴します。これはロイヤリティと意味が異なります。

 

本部としては明確な業務分担としての収入と、グループ化した美容室の利益に対するロイヤリティの2階建ての仕組みを設計する事で、本部としてのメリットも、グループ化した美容室のメリットも構築できると思います。そこがコンビニや飲食店などのフランチャイズの仕組みとの決定的な違いになるかもしれません。

 

美容室フランチャイズ(FC)=グループ化まとめ

今回のブログでは、コンビニや飲食店と美容室のフランチャイズの考え方の違いについて、かいつまんで書いてみました。これでもまだ一部分です。

 

美容室フランチャイズ契約書は、現在34ページで構成されていまして、あくまでそのページに記載されている内容はベースです。全ての仕組みは頭に入っていますが、重要な項目はまだまだ他にあります。

 

ベースとなる美容室フランチャイズ契約書をそのまま使う事はなく、相談を受けました美容室社長と全ての内容を照らし合わせる必要もありますから、時間も掛かります。だからこそ、全てがオーダーメイドになります。

 

20年前よりも10年前よりも、5年前よりもコロナ前よりも、顧客の状況が変わったり、新卒美容師の人口が減ったり、増々難しくなっていく気もします。

 

最低賃金も年々上がる、法人なら社会保険はすでにあたり前で社保を行っている事が、差別化にもならなくなりました。

 

では他の美容室とどこに差別化要因を作れるでしょうか?時には仲間であったり、時にはライバルであったり。これからの時代を生き抜くには、何が必要なのでしょうか?私はスタッフの未来作りな気がします。

 

私達はそのお手伝いをする事で喜んでもらえる人がいるなら、それが私達の仕事のやり甲斐に繋がります。

 

たくさんの案件を同時に抱える事は難しいのですが、オーダーメイドで作り上げる事に価値はあると思います。

この記事を書いた人

下道 勝
下道 勝取締役会長兼務代表取締役
美容業界特化型保険代理店REPSS(レップ)株式会社の取締役会長と、美容師教育プランニング・美容室事業設計のアドバイザリー業務を運営するNAPIAS(ナピア)株式会社の代表取締役をしている、下道 勝(シタミチ マサル)が、日本全国の美容業経営者に向けた、情報ブログサイトを可能な限りの範囲で更新しているブログです。 日々営業活動をしている中で、美容業経営者の「なぜ」に対し、協会認定ファイナンシャルプランナーとしての情報が満載です。 これから美容業経営者を目指す方、現在美容業経営者の方に対し、情報を発信していきます。