個人経営の美容室で美容師スタッフへの退職金作り
個人事業主として長年経営している美容室のオーナーさんから相談を受けました。
「うちは社会保険をやってあげられる程ではないし、何かスタッフにしてあげられる事はないかな?」
そんな相談です。
今回の記事は、個人事業で美容室を経営されているオーナーさんとのやり取りを、かいつまんで書こうと思います。
個人事業美容室の社会保険
もちろん労働保険(雇用保険・労災)はやっています。
昨今では、法人ではもちろんですが、個人事業の美容室でも社会保険をやっている美容室がある程、社会保険の導入は浸透してきています。
しかし、まだまだ社会保険を導入する個人事業は多くはありません。
もちろん美容室は「特定業種」に指定されているので、個人事業主であればスタッフの人数に関係なく、社会保険の加入は「任意加入」です。
数年前にはこんな相談もありました。
「社会保険をやらないと人が集まらいででしょ?」
本来の社会保険の目的は、従業員の福利厚生なのですが、人手不足問題を期に「求人の為に」社会保険をやるべきと考える美容室社長も多くいらっしゃいます。
果たして、社会保険を導入した事で「求人の結果」は向上したのでしょうか?
美容師求人の為の社会保険?
美容学校の先生に聞いてみると、法人の美容室で社会保険を行っていないと「テーブルにも乗せられない」とも言っていました。社会保険制度が有るか無いかの選択であれば、無いよりは有ったほうが良いですよね。
しかし「社会保険をやっているから」が求職者の目的ではない気がします。
社会保険が有るか無いかの差
社会保険制度とは、年金(国民年金・厚生年金)と健康保険の組み合わせを総して「社会保険」としています。
社会保険制度を導入している美容室と、社会保険を導入していない美容室の大きな差は「厚生年金」です。この「厚生年金」という単語の背景にはたくさんの意味合いも存在しています。単に「年金の上乗せ」だけではありません。だから費用負担も大きい訳ですね。
「年金の上乗せ」だけでは無いという事は、他に「保障」があるのです。年金も言い方を変えれば「保障」なのですが、確実にもらえるなら「保障」と言っていいでしょうか。
では、個人事業主で社会保険をやっていないと「保障」はないのか?と聞かれれば、そうではありません。先程の「上乗せ」が有るか?無いか?の違いなので、保障が無いって事はありません。
個人事業だから社会保険をやらないメリットがある
「個人事業主だから社会保険をやっていない。」
「社会保険をやってあげたいけど、そこまで余裕がない。」
結構リアルな言葉な気がします。
一見、ネガティブに聞こえそうなリアルな言葉ですが、私はメリットもあると考えます。
社会保険の加入義務を強いられる法人の美容室とは別に、「自由に福利厚生が選べるメリット」がありますよね。むしろ法人の美容室は、福利厚生が選べず「義務」とされています。
保障面を選べる。
保障期間を選べる。
機能面も選べる。
掛け金も選べる。
自由度が高い選択をできるのは、個人事業主の美容室には大きなメリットですよね。
10月に最低賃金の上昇も控えている今、賃金が上がると、福利厚生費も「給与に比例して上昇します」
ますます個人事業主の経営にメリットがでそうです。
個人事業の美容師退職金
少し前に書いたブログを再掲しておきます。
個人事業の美容室では、美容師スタッフに対する退職金積立は、方法にもよりますが、「全額経費」と「半分経費」にする事ができます。
「全額経費」にするメリット・デメリット。
「半分経費」にするメリット・デメリット。
それぞれ特徴もあります。
「経費にできる」事のメリットを大きく感じるかもしれませんが、私は「経費」にとらわれず、「仕組み」を重視するべきと思います。
大切なスタッフの事を考えれば「仕組み優先」だと思いませんか?
美容師人口が最も多い年齢層
日本全国、ほとんどの業種で人手不足を抱えているのが今の日本でしょう。その先に待ち受けているのが「後継者問題」が美容業界を襲ってきそうです。
多額なコストを掛けて、大量の応募を集められる時代はすでに終わっていませんか?
絶対数が減っている中で、いくらコストを掛けても、過去の残像を再現する事は難しそうです。
過去の美容学校の卒業生人数のピークは、2004年や2005年です。今2019年ですから、卒業生ピークから約15年が経ちました。
美容学校卒業生ピークの方々は、現在34歳か35歳でしょうか。現在の美容業界の美容師さん人口の最大数が34歳か35歳という事になります。
10年前は、24歳や25歳の美容師さんが最も多かった。
5年前は、29歳や30歳の美容師さんが最も多かった。
今は、34歳や35歳の美容師さんが最も多い。
5年後は、39歳や40歳の美容師さんが最も多くなります。
10年前、5年前に、美容師求人サイトに掲載すれば、どんどん応募が集まった理由は美容師人口のスライドを考えれば分かるはずです。
だから多額な費用を掛けて美容師求人サイトに掲載しても、なかなか応募に繋がらなかったり、応募があっても美容室が希望している年齢層とは違う応募が増えるのでしょう。
私は評論家でもないし、コンサルタントでもないので持論になりますが、美容室の運営形態は益々変化していく気がします。最近のシェアサロンではない仕組みが台頭してくる気がします。
美容師さんの未来の為に
国が発信した「自助努力」という言葉。
自分の事は自分で。
学校では教えてもらえなかったお金の事。
たくさん勉強する時間があれば良いのですが、仕事をしているとそう簡単に時間を作れませんよね。
皆さんの代わりに、私達が役に立てると思います。
ご相談はいつでもどうぞ!
この記事を書いた人
- 美容業界特化型保険代理店REPSS(レップ)株式会社の取締役会長と、美容師教育プランニング・美容室事業設計のアドバイザリー業務を運営するNAPIAS(ナピア)株式会社の代表取締役をしている、下道 勝(シタミチ マサル)が、日本全国の美容業経営者に向けた、情報ブログサイトを可能な限りの範囲で更新しているブログです。 日々営業活動をしている中で、美容業経営者の「なぜ」に対し、協会認定ファイナンシャルプランナーとしての情報が満載です。 これから美容業経営者を目指す方、現在美容業経営者の方に対し、情報を発信していきます。
最新の投稿
- THINK2023年7月10日素人の実力。執筆の現実。
- NAPIAS2023年6月27日大切なお知らせ。2冊執筆する事になります!
- THINK2023年6月26日リーダーという事をもっと早く学べばよかった
- NAPIAS2023年6月21日美容師教育計画キャリアプラン@NAPIAS(ナピア)株式会社