シェアサロン美容室の仕組みとは?【2021年9月更新】

急激に増えてきたシェアサロンについての相談ですが、皆さんの中での位置づけ?印象?はどういった感じなのでしょうか?

 

シェアサロンで働く美容師さんをフリーランス美容師さんといった表現であったり、業務委託美容室で働く美容師さんを委託美容師さんといった表現だったりと、似ている感じですが言葉ひとつで印象が少し違う様ですね。フリーランスといった表現は今っぽさがあるのでしょうね。

 

シェアサロンを考えたい美容室経営者さんにとっては、サロンを作る事は容易にできると思いますが、課題はその仕組みであったりインフラの整備ではないでしょうか?また「なぜシェアサロンを考えるのか?」の目的も重要だと思います。この目的が曖昧になっていないか?逆に目的がしっかりと考えているのであれば、競合が少ない状況と考えれば先は明るい気もします。

 

業務委託美容室の店舗展開はまだまだ続く気配も感じますが、最近少しづつ増えて来ている印象があるのはシェアサロン美容室。少し前に書いた記事で、GOTODAYの大庭さんとも話しましたが、大庭さんの様に「元IT業界」だからこその発想は大いにあって、美容師さんが踏み込めない一面もあるかもしれません。


シェアサロン美容室

ここ最近少しシェアサロンが伸びてきましたかね?それは想定内でしたでしょうか?想定外に伸びている印象でしょうか?ところでシェアサロンって何でしょうね?その仕組みはご存知でしょうか?今回の記事は、シェアサロンについて私なりの見解で書いてみます。

 

シェアサロンを考えているという美容室経営者さんがいらっしゃったら、アドバイザーとして右腕になりますよw

 

特に「業務委託美容室からシェアサロンへの業態変更」の相談ならREPSS社が最も相談相手に適していると思います。

シェアサロン美容室の仕組み

最近では、美容室が多くある地域を中心にシェアサロンの出店がありますよね。これは「顧客を持っている美容師さん」を集めたいので、必然的に「美容室がたくさんあるエリアの出店となるでしょう。

 

ところでシェアサロンという表現。以前に私が「妄想」していたシェアサロンの仕組み通りに運営をしている会社が、実はほとんどないんです(数軒はお見受けしますが)。私の妄想はマジメ過ぎましたw

 

美容室の方向性をなんて表現しようと自由なわけですから、シェアサロンと言っても、教育系サロンと言っても、業務委託美容室と言っても経営者が決める事ですからね。しかし、シェアサロンと言われている美容室の契約書の実態は、そもそも「契約」という概念から変える必要があるかもしれません。

 

一方では、シェアサロンという表現を使った、実態は業務委託美容室もあるのです。え?と、驚く方もいらっしゃるかな?

 

先程書きました「契約」という概念から離れて、業務委託契約書でもなく、業務請負契約書でもない、契約のあり方がシェアサロンの「文字上の核」になります。

 

本来の「核」はインフラです。ここは直接相談しましょう。かなり奥深い内容になりますので。この「核」なくして成立は難しいのではないかと思うほどです。ここではデジタルを活用する項目がでてきますが、必要経費として算入する必要があると思います。

シェアサロンは提供と共有

シェアサロンの主旨としては、場所の提供(共有)であって働く美容師さんに対し、独立リスクを軽減しそのリスクは会社と美容師さんとで按分しようという考えでしょう。その結果、望んでいた報酬を得られたり、自由環境で働く事ができるといったイメージがつきやすいと思います。

 

一方業務委託美容室の主旨としては、会社が集客し美容室に訪れた多くのお客様に対し、美容師業務を美容師さんに委託しお客様にサービスを提供するといった感じでしょうか。

 

シェアサロンは、自分の顧客を施術する為の場所の提供。業務委託美容室は、美容室に来店されたお客様に対し美容業務を委託する場所といった分類になるでしょう。

シェアサロン美容室の仕組みとは?【2021年9月更新】

シェアサロン契約書

独自ルートでシェアサロンの契約書(契約書に類似するもの)を集めてみました。みなさんが想像している以上に集めました。私は東京の人間なので、地方で展開しているシェアサロンの契約書を全部は集めきれていませんが、関東圏のシェアサロンの契約書はほとんど目を通して分かった事は、ざっくりですが多くのシェアサロンの実態は「応用」です。

 

中には業務委託契約ではない、シェアサロンとしての契約書で運営している会社さんもありまして、業務委託契約と業務請負契約の中間に位置する様な、おそらく優秀な弁護士さんが作ったであろう内容になっていました。むしろ「契約書」でもありません。

 

シェアサロンだから、業務委託美容室だからといった言い回しにとらわれず、独自で「うちはこうだ」といえばそうなのですから、どちらの表現でも良いわけですよね。

シェアサロン美容師

美容師さんにとっては、シェアサロンという美容室か業務委託美容室かの違いは、もしかしたら「響きの違い」くらいかもしれませんね。個人開業届けをするのも、確定申告するのも、もらえる報酬も実はほとんど大差ないとなれば、少しでも条件が良さそうだったり、今っぽさやかっこよさがあったほうが良いのかもしれませんしね。

 

私なりの過去の解釈では、売上を会社に計上し美容師さんに報酬を支払うのが業務委託で、売上を美容師さんに計上し会社へ支払うのがシェアサロンのお金の流れだと思っていましたが、これでは会社の売上は大きくなりません。会社の売上が大きくならないという事は、金融機関評価もなかなか上がらなかったり、経常利益は少し出せても展開するには少し足が早くなりづらかったりするでしょうね。

 

先程「過去の解釈」と書きましたが、契約書を収集してみた実態は「業務委託契約書の応用」だと分かったので、私自身の知識も少しアップデートされた気がします。契約書という考えから卒業しないとなりません。

 

美容師さんにとっては、会社のお金の流れはどうでもいい事かもしれません。業務委託美容室では「新規・フリー40%」「指名・再来50%」という表現と、シェアサロンでは「70%〜80%」であれば、条件が良さそうな後者を選ぶでしょうね。今っぽさを含めたら、私なら行っちゃうかもしれないw

シェアサロン美容師報酬

業務委託美容室では、平均的に「新規・フリー40%」「指名・再来50%」といった感じでしょうか。これには理由があって、賃料10%・材料費10%・水道光熱費5%・雑費5%・広告費10%・ロイヤリティ10%〜20%といった経費の合計を50%〜60%を差し引いて、業務委託報酬を40%〜50%支払うといった内訳が近い感じでしょうか。

 

この様な経費の内訳を今まで業務委託美容室ではあまり表現せずに、「新規・フリー40%」「指名・再来50%」の表現で運営したきたものを、「働き方改革」と表現して、賃料(10%と仮定)「固定額」+ロイヤリティ(会社運営費+水道光熱費・雑費含む)20%くらいの様に表現すると、美容師「報酬」は70%前後(家賃10%+ロイヤリティ20%)と見えます。ここまでがシェアサロンの表現に近いかな。

 

ここから材料代を自分負担でざっくり10%を負担するので、合計40%を差し引くと美容師「報酬」は60%前後と見えてきます。

 

広告宣伝費を負担しないこと、材料費は美容師さん負担だと、その分で20%の表現の違いになりますが、その結果約40%前後を差し引く事になるので、実質は60%前後が報酬として近い数値になる感じでしょうか。

 

業務委託美容室での「新規・フリー40%」「指名・再来50%」に上記の20%をプラスすると、「新規・フリー60%」「指名・再来70%」となりますよね。だから「顧客を持っている美容師さんを集める事」でこの数値が可能になるのです。

シェアサロン美容室の仕組みとは?【2021年9月更新】

シェアサロンの家賃?

運営会社目線で考えてみると、業務委託美容室の場合、委託している個人事業主の美容師さんの「稼働日数」や「売上」によって得られる収入を全て「%」化するとなると、会社の収入の内訳として「家賃比率」が上下する時もあるかもしれません。稼働してくれる美容師さんの人数や、稼働時間、集客効果によって、儲けが多くでる場合もあれば、家賃比率が高まるといった不安定要素を秘めています。

 

そこでシェアサロンでは「場所の提供」「場所の共有」ですから美容師さんから「一定の固定費」のような「家賃としての意味合い」でお支払いいただく事で、その美容師さんがシェアサロンを活用しても活用していなくても「一定の固定費」は収入として入ってきます。

 

不動産でいうアパート経営をイメージすると、ある一室を住居人が契約し家賃を支払っていただく。その住人が1週間海外旅行に行く、出張で1ヶ月家を空けるからという理由で、家賃が安くなったり家賃が0円になったりはしませんよね。

 

業務委託美容室とシェアサロンの安定感の違いはここに少しあるでしょう。しかし実際の利益ポイントは少し違ったところに存在する実態もあります。

シェアサロンの集客

個人事業主の美容師さんに対して新規集客をしてくれる美容室もあります。代表的なのが業務委託美容室と呼ばれる美容室の特徴かもしれません。HPBを活用しながら少し低単価に見えるような表現で、活用プランも上位表示するようなコストで、多くの集客結果を残す為に費用を捻出している美容室もあります。

 

たくさん入客して稼ぎたいと考える美容師さんが以前には業務委託美容室に流れました。

 

一方シェアサロン運営では、原則的には集客を行わないところが多いと思います。これは会社の収支バランスを崩してしまう可能性があるからです。もし集客をしたいと考えるなら、会社に頼らずに美容師さん個人又は美容師さん仲間で行うといった事になるのかもしれません。また会社にその費用を支払って、会社が集客を行うも、会社がその費用を捻出しているわけではないかもしれませんね。個人事業主ですから、集客も自己負担は当然といえばその通りなのです。

 

最近では所属する美容師さん同士でSNS集客のセミナーを行うケースもあります。

 

もし自分で店舗を構え、集客をするとなれば、その費用はもちろん誰も負担してくれませんし、自分で負担する事に疑問もないでしょう。賃貸契約しお店を持つか、美容室と契約し場所を借りるかの違いだけなんです。

 

中には親切な美容室さんが「集客付き」のシェアサロンとして運営しているところもあります。もはや業務委託美容室との違いに見分けがつかなくなってきました。今っぽさで言えば私は良いと思います。

シェアサロン美容室の仕組みとは?【2021年9月更新】

シェアサロン美容室まとめ

美容業界で少しづつ成長してきているシェアサロンの記事を、現時点で解釈している事を書いてみました。過去の私の解釈とは異なっていて、思いのほか業務委託の延長なんだなというのが印象です。それが良い事・良くない事なんて事は一切なくて、皆さんよく考えているなとむしろ感心しています。

 

最後に少しまとめておきます。

 

❶業務委託美容室の売上はいったん会社に計上し、委託報酬を美容師さんに支払う。これは一部のシェアサロンさんを除きシェアサロンでもほぼ同様で、表現方法の違いのようです。(会社の売上を大きく見せられる)

 

❷一部のシェアサロンさんでは、売上は美容師さんに計上し、会社は売上を「預り金」(←あえて会計用語は使わないとします)として計上し、美容師さんに施設利用料等を請求し支払ってもらう。この事務的な事を会社が代行する事で、事務管理手数料を別途支払っていただくケースもある。

 

❶の場合は売上をいったん会社に計上するので、売上高を多く作れる会社。❷は施設利用料やロイヤリティ等を支払ってもらう位なので、会社の売上は美容師さんの売上の40%〜50%が会社の売上高になる。決算書を良く見せるには、❷のやり方ではなく、❶のやり方の方が決算書の見栄えも、銀行評価も良いでしょうからそのやり方を選ぶ方が賢明で、そのやり方を業務委託美容室と呼ぶか、シェアサロン美容室を呼ぶかは自由なわけです。

 

❸「核」となる部分がいくつかに分かれます。そのひとつが「契約書?規約?」の策定です。そしてインフラの整備。このインフラをどこまで「運用できるか」といったとこがポイントになると思います。このインフラ整備は大きく分けて2通りの必要性があります。

経営するなら業務委託よりシェアサロン?

業務委託美容室でもシェアサロン美容室でも、美容師さんが実質的に受取る報酬に大きな差は無さそうに見えます。しかし経営として安定しやすいのは、美容師さんから「固定費」をお支払いいただくシェアサロンに少し分がある様な。

 

2023年のインボイス制度が数年後に控えている状況もあって、売り抜けたい(バイアウト)と考えている美容室もチラホラ。

美容室の未来プラン

美容学校の卒業生推移を見る限り2005年〜2006年がピークですから、現在35歳〜36歳の美容師さんが美容業界で最も多い年齢層とも言えるかもしれません。その結果、今後ますます小規模独立を考えたり、小リスク独立を考えるとすれば、シェアサロンという形を望む美容師さんが増えるのかもしれません。今っぽい感覚もあるでしょうし。

 

教育系の美容室経営者さんにとって、シェアサロンの成長をどう見ているでしょうか?

 

私は十分な経営の組み立てがあると思います。じっくり考えて欲しい事は、やはりスタッフの未来です。もし美容室の未来プランが明るくて、美容師スタッフにとって選択肢が広かったり、ベテラン美容師さんの居場所や役割をしっかり示せたら、むしろ今の美容室に所属し続ける方が良いと思ってもらえるのではないでしょうか。

美容室未来プラン一例

ほんの一例ですが、例えば週4日程度はグループ社内のシェアサロンで活躍していただく。これは個人事業主としての働き方。確定申告をする際に、必要な経費計上もできるでしょう。そして週1日だけ、短時間正社員として若手スタッフの教育者として勤務していただく。これは雇用として給与所得者として、社会保険も完備した正しい働き方。給与所得控除も受けられる。

 

自由な働き方の個人事業主と、教育をする短時間正社員は給与所得の社会保険完備としての、両面性をもった働き方もできるでしょう。個人事業主の働き方は不安定が付き添いますが、それを解決できる美容室経営も可能でしょう。実際、私がお手伝いしています美容室ではすでに仕組み作りが始まっています。

 

コロナを良いきっかけとして、2021年はしっかり未来プランを作りませんか?

 

競業他社に対してではなく、自社の大切なスタッフさんの未来を考える事が、長期雇用に繋がったり、長期経営の柱になる思います。そこに仕組み化は必ず必要になるでしょうしね。

 

少し考えてしまったり、少し話だけでもという方、一度がっつり話がしたいと感じてくださった方、遠慮なくお問い合わせくださいね!スーツにネクタイではなく、ラフな服装でお待ちしていますので!

 

こちらの記事も参考に!

インボイス制度が美容室にどう影響を及ぼすのか@レップ千葉



この記事を書いた人

下道 勝
下道 勝取締役会長兼務代表取締役
美容業界特化型保険代理店REPSS(レップ)株式会社の取締役会長と、美容師教育プランニング・美容室事業設計のアドバイザリー業務を運営するNAPIAS(ナピア)株式会社の代表取締役をしている、下道 勝(シタミチ マサル)が、日本全国の美容業経営者に向けた、情報ブログサイトを可能な限りの範囲で更新しているブログです。 日々営業活動をしている中で、美容業経営者の「なぜ」に対し、協会認定ファイナンシャルプランナーとしての情報が満載です。 これから美容業経営者を目指す方、現在美容業経営者の方に対し、情報を発信していきます。