私は数字が上がらない忙しい人でした@REPSS下道
ソニー生命の2年生か3年生の頃に、良かれと思って行動した結果「数字が上がらない、予定が埋まっている忙しい人」でした。仕事に結びつくと信じて、仕事のつもりで動き回り、売上はイマイチなのに「見込み客作り」だと思い込んで、たくさん美容師さんに会っていました。今思えば、その動きは自分の原点な気がしますが、当時は上司に怒られてばかりの劣等生でした。
営業職の方々にとって、スケジュールが埋まらないという状況は本当に辛いと思います。けど大丈夫です。今回のブログが少しでも参考になれば良いなと思います。
営業職の動きとは
仕事には、ある程度のプロセスというものがあります。美容室であれば、お客様がご来店してから、退店するまでの一連の動きがあって、いらっしゃいませから始まり、ありがとうございましたで終わる一連のプロセス。営業マンも同様に、アポイントの設定から、ご契約締結までの一連のプロセスがあります。しかし、今の会社で営業の仕事の基本とか原理原則は学べていますか?入社して間もないのに、同行営業して見て覚えてくださいではないですか?その教え方は本当に正しいのでしょうか?
営業マンの世界ではこのプロセスをどれだけ磨いても、どれだけ練習しても、どれだけ知識を持っていても、誰よりも勉強しても、売れない人は売れないのです。売れる人と売れない人には決定的な違いがあって、「顧客を見る事」という当たり前の事が案外出来ていない気がします。ではどこを見ているかと言うと「上司や成績」を見ていますよね。露骨にではなく内心は。
もしそうだとすると、すごく分かります。昔の私がそうでした。そしていつも自分に言い訳していました。その時は言い訳と思っていなくて、自分の考えだと思っていました。苦手な事はやりたくない。やりたくない事までしたくない。良い人と思われたいし、嫌われたくない、喜んでもらいたい。そんな仕事のやり方を目指していた気がします。実は今でも同じ様に思っています。だから、そう思ってもらえる様な仕事をしようとしました。
社内が最高の練習場
営業マンに限った事ではなくて、美容師さんも同様なのかもしれません。私の場合は、今でも基本は紹介だけで営業が続いていて、私が担当しているお客様には本当に感謝しているのですが、なぜご紹介を頂戴できるか?の基本は「ご紹介をいただける自分作り」がなくてはなりません。偶然のご紹介は僅かにあるかもしれませんが、それはタイミングが良かったのです。偶然は必然とも言いますが、偶然も必然も仕事が長く続くほど連続的に起きたら奇跡です。
どんな技術をもっていても、どんな知識をもっていても「この人を紹介したい」とお客様が思ってくださらなければご紹介をいただける訳がありません。社内でも同じ事が言えるかもしれません。この人と仕事がしたいと思える人はいますか?その逆に、残念ですが優秀であってもその人はその人と割り切ってしまう人はいますか?
ソニー時代に先輩からこう教わりました。「社内は最高の練習場だ。社内営業のできない人が外に出て営業成績が良いわけないんだよ。もし偶然数字が上がったとしてもそれは一時的で長続きしないタイプだから、社内をよく見てみろよ」という話でした。確かに見渡すとそうでした。
見込み客作り
営業プロセスには「見込み客作り」という言葉があって、自分の本業の話をまだしてない、これからしたいと考えているお客様の事を見込み客というのですが、当時はこの見込み客を増やすための動きをしていましたが、なかなか仕事の話をする機会を伺うばかりで自分から話しを切り出せませんでした。そして微妙なタイミングで話し出すと、あっさり流される経験をたくさんしました。
この流される経験があったからこそ、今の私がある気がします。なぜ流されるのか。なぜしっかり聞いてくれないのか。
すごく簡単な答えでした。興味がなかったのだと思います。例えばお腹が空いていないのに牛丼屋さんには入りません。お腹が空いていれば、牛丼にしようかラーメンにしようか想像します。そして何かを食べます。つまりお客さんにとって、お腹いっぱいの状態か空腹の状態かという事なんです。お腹が空いている状態とは、お客さまが欲しいと思っている情報なのです。その空腹感に気がついている人と、こちからのアプローチで空腹感を感じる人がいるという事です。
空腹のタイミングを見計らうのは難しいですよね。いつも側で見ている訳ではないので。なので、空腹ではないですか?というアプローチを考える様になったのです。
美容室社長にとってその空腹感とは何なのでしょうか?それが経営的の情報であったり、人財の情報であったり、お金の情報であったりと、さまざまな情報という手土産を持っていくようにしたのです。ひとつの情報をひとりに。次に会う人には違う情報を。そうすると、興味を持ってもらえた情報を他にも伝えると、思いの外喜んでくださる人が多かったわけです。
これは小さなテストを試してみて、成功したらより多くの展開をする。小さなテストなら失敗してもさほど問題がないという事です。この考えで「関心事」を見つける様な、いくつかの情報を併せ持って、当時は数少ないお客様に会いに行ってました。そしてすごく興味を持ってくださった方に、同じ話を聞いてくださる方は他にいますか?と聞いてみると「結構いるでしょー」の様な軽い感じの回答をくださる方が少しづつ増えたのです。
そして、名刺交換をする。何度か会って、どことなく自分の本業の「アプローチ」をする瞬間を探す。こんな事を、繰り返していた頃、気がつくと1年間で何百人もの人と会いました。人脈を広げる為に、多くの情報を持ち合わせ、自分を知ってもらうための動きをした。その頃、ちょうど2000年の頃か?2001年の頃だから、今から20年前の事で、当時私は30歳前後の頃。
助成金情報は人脈作りに最適だった
今では専門会社さんが存在するくらい一般的になりました助成金や補助金。2000年の頃は自分を知ってもらうための情報として「助成金」が最適でした。当時の助成金は1500万という高額助成金を次々と独立希望の美容師さんに持ち込んだり、50万〜200万くらいの助成金情報を話し社会保険労務士を紹介して申請をたくさんしました。そしてほとんど美容室で給付されました。当時は助成金や給付金はほとんど知られていなかったので、皆さん驚きと共にたくさん会える方も増えました。
その結果、紹介の輪が広がり助成金勉強会を行なったり、美容師さん同士の集まりに招待されたり、「助成金屋」みたいな立ち位置でした。その後、助成金だけでなく税務や法律の知識が必要だと感じ勉強をする様になり、美容室社長の相談を直接受けたり、美容業界の方々との繋がりは、わずか2年や3年でとても大きな輪に成長していきました。
ある意味引っ張りだこで、今の時代の様にネットはそこまで普及しておらず、SNSなんて一切ない時代に、口コミや紹介だけで、雑誌の取材にも応じ、美容ディーラーさんでは勉強会を定期的に行なった事で、美容師さんだけでなく、美容業界に関連する会社さんとの繋がりもできました。
この動きが多くの人脈を生んだのですが大きくなったのは人脈だけで、実は自分の本業の売上にはほとんど結びつかなかったのです。求められていた自分は、助成金情報を持った私であって、保険屋の私ではなかったわけですね。それでもなんだか嬉しい気持ちでした。いろんな人から声がかかり、是非来て欲しいと言われ、行けば歓迎され、自分の持っている情報を全てお伝えすることで、美容師さんから「スゴイですねー」とか言われたりして。
美容師さんが私の事を想ってくれた事がきっかけ
いつからか保険が売れ始めたきっかけがあったのは、美容師さんの善意で、「したみっちゃん、本当は保険の話がしたいんじゃないの?」これがきっかけで、自分の本業に結び付く行動を学んだのです。そこに気が付かないままに、「繋がり」や「輪」だけが広がると、「情報を持っている忙しい人」で迷走してしまうのです。この美容師さんの利他の心が私にきっかけをくださったのです。私のことを考えてくれて、私の気持ちを汲んでくれた利他の気持ちを学んだのです。
美容師さんから求められる動きをしたことで、1日何人もの美容師さんから電話を頂戴した。一方、会社に所属している以上、営業マンとしてやるべき目標数値があったり、上司に何してんだと詰められたり、美容師さんに求められる自分と、成績の上がらない営業マンの構図は少しづつ改善する傾向になりつつあったのです。その行動を継続することで、手帳は真っ黒で予定ぎっしり。実は成績は微増。
無料の情報屋
美容室で、カットもカラーも、パーマもトリートメントも、全てのメニューを無料にしたら、爆発的に集客ができるでしょう。まさにこの事をやっていたのです。無料の情報屋。美容師さんに会うための情報を収集し、その情報を無料で伝え、セミナーや取材に応じ、名前だけが先行し、会社では売れない営業マンのレッテルでも、当時の美容師さんからはたくさんのお声がけをいただける状況。まさに無料の美容室の様な行動でした。
多くの美容師さんとの人脈を作り上げ、本業の仕事の話ができるまでのコミニュケーションを続け、いつしか本業のセールスをした途端に、「検討しとく」の様な、営業言葉でいうペンディング状態のお客様が一気に増えてくる。ペンディングになるという事は本業の話をした時に、今の現状に不満をさほど持っていない場合や、お伝えした内容ではお客様は満たされていないからペンディングになるのです。
多くの人と会うことで、本業の話ができる可能性は上がりますが、目的が会うことになってしまうと、「売れない忙しい人」から抜け出せなくなる。先に書いた、プロセスという工程をどれだけ磨いても、どれだけ練習しても、どれだけ知識を持っていても、誰よりも勉強しても、売れない人は売れないという意味はそこに足りない大切な要素が欠けているからなのです。
自分は何屋か?
自分は何者か?これをはっきりさせる必要があると思うのです。数字が伸び始める要素は、たったこれだけかもしれない。付加要素は他にもたくさんある。仮に60分間の時間があって、そのうち55分は情報提供の時間でいい。それで帰ってきてしまう営業マンが多い。特に営業経験がまだ浅いうちは。
5分でも自分の本業の話を切り出すタイミングだったり、勇気がなかなか出ないんじゃないかな?けどそれは、自分自身の問題で、当事者の自分は「何者か?」をはっきりさせる意味で一歩踏み出したところで、お客様に嫌われる事はほとんどない。仮に「保険屋が嫌い」であっても、会ってくれるなら「保険屋が嫌いなだけで、自分を否定されている訳ではない」むしろ、本業の話を5分だけ話す事で嫌われるなら、その方は過去に保険屋に相当嫌な思いをさせられた経験があるのでしょう。
営業の技術も知識もどれだけ磨いても、人と会う為の行動の理由を明確にしないと、数字の上がらない忙しい人になってしまいます。営業会社では、そういった側面の教育はほとんど無いでしょうし、教えられる人も少ないでしょう。マーケティングという表現とは少し違うのですが、マーケティング的な考え方で母数を増やしてからというのであれば似ています。
結果を作りたいなら、目の前の方を自分の言葉と行動で変えようとしない事だと思います。
この記事を書いた人
- 美容業界特化型保険代理店REPSS(レップ)株式会社の取締役会長と、美容師教育プランニング・美容室事業設計のアドバイザリー業務を運営するNAPIAS(ナピア)株式会社の代表取締役をしている、下道 勝(シタミチ マサル)が、日本全国の美容業経営者に向けた、情報ブログサイトを可能な限りの範囲で更新しているブログです。 日々営業活動をしている中で、美容業経営者の「なぜ」に対し、協会認定ファイナンシャルプランナーとしての情報が満載です。 これから美容業経営者を目指す方、現在美容業経営者の方に対し、情報を発信していきます。
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