フリーランス新法@REPSS田口

こんにちは。REPSSの田口です。

先週のブログでは今後の社会保険の変化を書きましたが、今年中に始まるもう一つの新しい法律に触れておきたいと思います。美容業界でも影響が受けるサロンはあると思います。2024年11月から施行される法律です。

フリーランス新法

世の中でも美容業界でもフリーランスという言葉は当たり前になりました。一体どんな内容なのか?どう対応したらよいのか?美容業界にあてはまるパターンだけ簡単に紹介します。

この法律を簡単に言うと、フリーランスの人々が安心して働けるようにしようという主旨。フリーランスは稼げる可能性を秘めている一方、労働基準法が適用されませんので雇用されている人よりは不安定な立場であります。契約を急に切られたり、取引してもらえなくなったりと基本的には弱い立場にあります。この法律が指すところのフリーランスの人々というのは、美容業界でいうところの業務委託で働いている美容師さんのことです。面貸しとは違います。

事業者間、つまりサロンと業務委託美容師さんとの間で曖昧になっているルールは、サロン側がきちんと整えてください。という内容です。もしこの法律に違反したまま対応をとらないでいるとサロン側は50万以下の罰金が課せられますので、内容を再確認しておきましょう。

 

どんな内容?

業務委託事業者(業務委託サロン)

特定業務委託事業者(従業員もいるサロン)

特定委託事業者(いわゆる業務委託美容師(アシスタントなどを雇っている方は対象外))

漢字だらけだし委託や受託が出てきて???となりますが、サロン側がやることはシンプルです。

【業務委託契約書】を交わしてください。

今となっては契約書を交わしてないサロンは少なくなってきたようですが、過去に間に合わせで作ったようなA4用紙だけでは頼りないかもしれません。以下の取引条件が記載されている必要があります。

・業務の内容(例:顧客に対する美容行為)

・報酬の額(例:報酬は売上のうちの●●パーセント)

・⽀払期⽇(例:20日締め月末払い)

・発注事業者・フリーランスの名称

・業務委託をした⽇

・役務提供を受ける⽇(働いてもらう日)

・役務提供を受ける場所(働いてもらう場所)

業務委託契約書をしっかり用意していれば特に問題はなさそうですね。

 

サロン側に従業員と業務委託美容師が混在している場合

この場合は少し厳しくなってきます。上段の業務委託契約書にプラスして以下の要件も遵守しなければいけません。

・報酬支払は施術した日から60日以内に支払う。

・フリーランス美容師に落ち度がないのに報酬を減額しない。

・通常相場に比べ著しく低い報酬の額を不当に定めない。

・正当な理由なくサロン側が指定する物を購入させるない。

・求人広告などの募集時にウソ誤解を与える情報を載せてはいけない、正確かつ最新の内容に保つ。

・6カ月以上継続して業務委託をした場合には、妊娠、出産、育児・介護と両立しながら仕事ができるような配慮を行う。

・セクハラ、パワハラ、マタハラ(マタニティ・ハラスメント)等について相談適切な対応のための体制の整備をする。

・6カ⽉以上の業務委託美容師を中途解除する場合や更新しない場合は、原則30⽇前までに予告する。

多いしややこしく感じますが、見てみると至極当然な内容ばかりですね。普通にやっていれば問題なさそうです。

ただ、繰り返しになりますが違反したままでいるとサロン側は50万以下の罰金が課せられますので、対策はしておきましょう。

 

業務委託の未来

将来的に業務委託美容師も社会保険加入になっていくとの噂があります。こうなってくると正社員と業務委託という働き方の違いがなくなるようにも思えます。

原点回帰。正社員採用と教育、人材の定着に注力しているサロンこそが王道であり、美容業界の安定したビジネスモデルなのかもしれないですね。

この記事を書いた人

田口 恭平
田口 恭平
(タグチ キョウヘイ)元美容師。
美容室の経営に関わる仕事がしたいと思い、REPSS株式会社に入社しました。
最近は美容師新人教育の見直しについてのご相談を受けることが増えています。
その他、美容室に関わる保険、独立開業、採用、教育、税務、労務など、美容業界で働く皆様にとって、お役に立つような情報、気付きを発信していきます。