タイミングが難しい【美容室の法人成り】@レップ千葉

※2023年5月更新

コロナウイルスも5類に引き下がり日常に戻りつつある状況ですね。
美容業はそこまでの影響もなく、他業種に比べればダメージも少ないというサロンが多かったように感じています。

売上は下がることなく順調なサロンも多く、以前と変わらずに法人成りのご相談も頂いている状況です。

今のサロン状況で法人を設立することが正解なのか?もう少し様子をうかがうのか?

経営者の方は判断に迷うこともあるかと思います。

 

一体どういった状態であれば、法人の方がメリットが出てくるのか?なぜ法人にした方がいいのか?

その辺りの疑問が少しでも解決していければと思っています。

個人美容室を法人美容室にするかどうかの相談

以前、埼玉のサロンオーナーから法人成りのご相談があり、打ち合わせに行ってきました。

開業からお手伝いさせていただき、サロンの状態も順調にここまできています。開業から2年、今年から消費税課税事業になるので、そのタイミングもあり法人成りについてお話ししてきました。

すでに他の法人美容室のオーナーさんからの助言もあったようです。ちなみにもうちょっと法人成りは先延ばしにする予定です。

人生の大きな分岐点ですから、しっかりと一緒に考えて、アドバイスさせていただき、試算した結果です。

来年くらいには会社にするかもしれませんし、もしかしたら今年後半くらいに早まるかもしれませんが、現状は先延ばしです。

 

ここ数年、毎年コロナの影響も関係なく、何件かのご相談をいただいております。経営コンサルでもなく、いち保険屋の私にご相談いただけるのはとても嬉しい限りです。

美容室の、その方の将来に関わってくる事なので、それぞれ慎重にお話させていただき、中には法人成りに向けて準備をしているサロンもあります。

美容室はなぜ法人成りするのか?

まずはここをオーナーから聞いておかなければ話もできません。

 

利益が出てきているから?

スタッフの為に社保完備したいから?

求人、リクルートの為?

節税の為?

消費税免税を活用する為?

今後の借入の為?

今後の出店の為?

 

それぞれの理由があると思いますが、法人成りを意識する状態であるということは、お店としては良い状態なはず。売上や集客で困っているわけではなく、良い状態をより良くする為の考えですからね。

ただし、目的を明確にして、更にしっかり試算しておかないと、将来考えていた展開の、逆に足枷になってしまう事もあるんです。

実際に個人事業の時には好調だったサロンが法人成りしてしばらくすると、経営難に陥ってしまい、その対策をしたいというご相談もあります。

 

そうならないよう、法人成りのご相談を受けたとき、まずはこの先どうしたいのか、どうなっていきたいのか、現状はどうなのか、法人成りするとどうなるのかが重要になってくると思うんです。

結果論ではあると思うのですが、しっかり考察してシミュレーションすると、どうしたらいいか?が判断しやすくなるのかなと思っています。

 

あー、やっぱ辞めときゃよかった。。。じゃお互い気不味くなっちゃいますからねw

それだけならまだましですが、スタッフの離職や事業縮小なんてことになれば目も当てられませんよね。

美容室の法人成りを止めた方がいい?

メリット・デメリットを考え、しっかりと止めるケースもあります。

パターンといってもサロンの状態によって変わってくるのですが、こう言った場合は割と法人成りを先延ばしにするケースが多い気がします。

  • リクルート、求人の為に社保完備したい。
  • 消費税免税を活用したい。
  • 出店の為、金融機関の信用を上げたい。

 

もちろん悪いわけでもないんですけどね。先を考えたら法人成りしておいた方がメリットになる事も多々ありますので。ただ、実際問題はどうなの?個人事業のままでも良くないですか?みたいな状況が多い気がします。

後にも書きますが、サロン状況の前にこれらを考えて法人成りしてしまうと、デメリットも多く発生します。

事業を発展させるための法人成りが真逆に働いてしまう。

 

税理士さんに言われてという方も多々いらっしゃいますが、その意見も踏まえて他方から考え法人成りをするべきです。

最終的な判断は、全て経営者の責任ですので。

 

美容師求人=美容室社会保険?

この辺りの理由は割とリンクしてくる場合が多いですよね。出店したいからスタッフを募集したい。その為に今の美容師求人事情を考えると、やはり社保が必要なんじゃないか?

 

確かに気持ちもわかりますし、求人効果があるかないかで言えばあると思います。ただし、体感としては多少効果がある?のかな?ってレベルじゃないかとw

 

法人であれば社保完備は当たり前に加入義務があるので、それを目的にしている法人化も多くなってきたように感じますが、実際のところ社保完備のサロンが求人できているかと言われると、社保やってないサロンと正直そんなに大差ないと思っています。

 

社保完備を打ち出しての美容師求人ブーム?は数年前にもう終わってしまっていますよね。むしろ会社であれば当たり前。が今の業界の認識ですよね。

なので、社保完備をしたからといって、人が集まるわけではないと思っています。

やろうと思えば個人事業でも社会保険は加入できますので、これが法人成りの理由になっていると「ん?」と疑問をいだいてしまいます。

 

実際に社保完備しているサロンオーナーさん、どうですかね??

さらに出店も考えるとなると、個人事業では考えなかった社会保険会社負担分まで計算しなければいけないですよね。全スタッフや、経営者分も含めて。

そういった負担額の増加も計算した上での法人成りや社会保険加入であれば、福利厚生の充実や企業としての信用など、サロンの成長に繋がっていくでしょう。

美容室の社会保険料を試算してみる

美容国保やトリッキーな方法(エリアによっては美容国保という健康保険の活用ができ多くの場合、社会保険の負担が減少します)は置いといて、ざっくり人件費の15%は会社負担になりますから、新店舗の為にリクルートをして、平均20万の給料の方が運良く3名採用出来たとしたら、ざっくり計算してみます。

 

20万×3名=60万の人件費+60万×15%=9万の社会保険料になるので、月々9万のプラス費用がかかってきます。

社会保険料9万×12ヶ月=108万の会社負担が増える事になりますよね。

結構パンチ力があります。これだけじゃないですよね。

元々いるスタッフや、オーナーの役員報酬にも社会保険料はもちろんかかってきます。

仮にオーナー40万、元々いるスタッフ3名で平均月給20万だとしたら。

合わせて100万×15%=15万の社保料が月々かかってきます。

15万×12ヶ月で180万の社会保険料です。

年間180万の社会保険料、これまた結構なパンチ力がありますよね。

 

合計でざっくり288万の社会保険会社負担分。

 

さらに言えば、オーナー個人が負担する社会保険料は、もちろんオーナー負担ですので、自身の社会保険料は30%丸々ということにもなります。

 

役員報酬の30%+スタッフ給与合計の15%=社会保険料の負担額

これを計算した上で法人成りの決断をしていきましょう。

 

何の為の美容室法人成りか?

新規出店のために美容室を法人化すると、今までのスタッフ達やオーナーの分で180万、新しく増えるスタッフの社保料で108万、合計288万の年間社会保険料が加算されることがわかりました(更にオーナー役員報酬の15%もかかります)

計算式を見て貰うとわかるように、給料の設定は割と低く設定しています。オーナー以外、全員アシスタント??みたいな設定でも、これくらいの負担額になっちゃうんですよね。

こうなってくると、出店を考えていたのに以外と現金が増えず、出店を先送りにせざるを得ない話もあったりしますし、売上を持っているスタイリストが退社したとたんに経営が悪化してしまったりもします。

 

更に付け加えると、新設法人なので信用もありません。個人事業の実績は形上、一回リセットされてしまうのでせっかく信用を得て、多少なりとも下がってきていた借入のハードルもまた元に戻ってしまう場合もあります。

よく法人の方が信用が高く、借入しやすいと聞きますよね?将来的には確かにそうだと思います。でもそれは実績のある法人、会社がそうなわけで、新設の会社は割と借入が難しくなるケース、そのまま個人事業として借入のほうが優位になるケースも多いです。

 

この社会保険料の出費や借入を考えると、状況やタイミングによっては法人成りを先延ばしにした方がいいのでは?と思ったりします。

少なくとも出店計画が現実的で、スタッフが増える事がわかっているのであれば、出店後スタッフが増えてから改めて試算してみても遅くはないのではないでしょうか。

美容室で利益がガッツリ出ているなら法人成り?

メチャクチャ利益出ていて、社保とか余裕すぎて税金ヤバすぎるくらい高い!!こうなると法人の方がメリットがありそうですが、早い段階で出店を考えるのであれば、そんなに急がなくても?って思ったりもします。

結果、出店が先送りになったりすれば税金額が大変なことになったりもしますが、正直そこは結果論でしかなく、そのときの選択としては最善だったたずです。

しかし出店していれば黙っていても出店に関わる諸々の費用や人件費で、ある程度の経費はかかってくるので、所得は自ずと減っていきますからね。出店後、サロンの調子や状況を確認してからでも、法人成りを考えるのは遅くないと思っています。

 

消費税の免税目的の法人化は危険

消費税免税だけを考えるのもかなり危険です。

いまでもこれを理由に法人成りを検討している方がいますが、現状でいうと消費税免税は確かにメリットですが、優先順位で考えるとそんなに高いところではありません。

消費税の免税終了後、しっかり納税して、ちゃんと法人を維持しつつ、もちろん利益も出る計算が成り立つのであれば、それは会社にした方が絶対にいいですよね。

 

いざ2年〜3年が経過して、やっぱりキツイから個人事業に戻します。じゃシャレにならないですからねw

僕が従業員でそんな状況になったら、この会社大丈夫かな?儲かってないのかな?なんて思って、転職考えちゃうかもしれませんし、給与も増えず社会保険の負担が増えているスタッフの中には、不満がある場合もあって、それが表面化することも考えられます。

美容室の法人成りをオススメする場合

先にも書きましたが、オーナーの所得が高く税金がエゲツなくなってきている。これはほぼ間違いなく法人成りをオススメします。

出店は考えているがキャッシュがある、まだ具体的ではないなど、サロンのベース作りに入っている状態なんかでも法人成りをオススメするケースが多いです。

利益が出ていて税金が高い、もしくは高くなりそうであれば、税務的には法人に大きなメリットがあります。

大企業や一般的な会社といわれるところで、個人事業ってあんまり見かけないですよね?それは法人の方がメリットがあるからなんです。

 

私自身が割とビビリな性格なので、ネガティブ発言も多くなり慎重に考えて行きたいところですが、、それでも目的がはっきりとして意志が明確な人は上手くいく方が多いと感じます。

 

問題ないだろうなぁと考えながら話しているので、止める力が弱いのかもしれません。

私が話していて間違いなくヤバイと思う方は全力で止めに入りますが!

 

目的を明確にして、しっかり事業計画を立て、試算してみる。

結果、問題がないようであれば、会社に移行していくべきでしょうし、その方がメリットも増えるでしょう。

 

美容室を法人にする理由

 

個人事業主の方々が会社にしていく、法人成りする理由はちゃんとあるんですよね。

イヤラシイ話をぶっちゃけちゃいますが、要は法人と個人、どっちが儲かるか?お金を残せるか?だと思うんですよねw

意地が悪い言い方になりますが、月100万稼げていたオーナーが、月30万になっちゃいますけど社会保険は加入できますが、どうします?と言われたら選択しないと思うんです。

稼ぐこと、儲ける事は決して悪いことではなく、その儲けで出店をし給与を上げ、休みを増やしていけるわけですからね。

 

そういった意味でも個人事業の方がお金が残りそうであれば、その方がいいと思うんです。

個人事業で社保だって入ろうと思えば入れるし、社保以外でも、福利厚生を手厚くする方法はいくらでもありますからね。例えばスタッフの退職金制度もそのひとつ(中退金とか、小規模企業共済とかは良く考えて加入してください、ご相談いただければ全力で止めますw)

 

しっかりと現状を分析して、未来の為に今どう判断するか?

結果的に最終判断をするのはオーナーですが、その判断材料、一つの判断基準にしていただけたら幸いです。

この記事を書いた人

千葉 実
千葉 実
美容師・美容ディーラーの経歴を経て、REPSS株式会社という美容業界に特化した保険/求人会社の執行役員として所属しております。
美容室の開業、経営のお手伝いをしています。普段は基本、お客様やディーラーの方からご紹介頂く「紹介営業」で活動していますが、より多くの独立開業やサロン経営に携わる事ができればと思い、独立開業セミナー等開催しております。